こんにちは!しょーです。
ブログをご覧いただきありがとうございます。
今回の内容は…
諦めていたことが実現した時、人はどのように変わるのでしょうか?
実際のリハビリの様子も合わせてお伝えします。
生きがいを失い、閉じこもりになっていた男性との出会い
ある時、ケアマネジャーより「訪問リハビリで介入してほしい人がいる」との依頼を受けました。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に位置づけられた職種であり、介護保険の根幹である、「ケアマネジメント」を担う専門職です。
引用元:一般社団法人 日本介護支援専門員協会より
ちなみに訪問リハビリとは、病院を退院した後も継続してリハビリが必要な方に対して、ご自宅や施設等に直接訪問し、その場でリハビリを行うサービスのことです。
初回訪問でお会いした男性は、50代で脳梗塞を発症し、右半身に重度の麻痺と言葉の障害が残っている状況でした。
また、一人暮らしにも関わらず、車椅子生活を余儀なくされ、日常生活全般に介助が必要な状態でした。
生きがいを見出せず、外出意欲が減退し、社会的な交流もほとんどない日々…
そんな感じで最初はなかなか心を開いてくれませんでした。
実はゴリゴリのロック好きだった!
それでも何度か訪問していくうちに、少しずつ会話も増えて、笑顔が見られるようになりました。
- 病前はデザイン関係の仕事をしていた
- 年間指定席を取るぐらいカープが好き
- 趣味はライブ観戦や将棋、絵を描くこと
- 実はロックが好き
- しかもゴリゴリのハードロックが好き
この内容はほんの一部ですが、「その方がこれまでどんな人生を歩んでこられたのか?」を知ることは、リハビリの目標を設定する上でも非常に大切になってきます。
そんなある時、「KISS来日!広島でライブ開催!」とのCMがたまたま流れているのを見て、
と目を輝かせて私に訴えてきたのを今でも鮮明に覚えています。
ちなみにKISSってご存知ですか?
チューではありませんよ。そう、アメリカの有名なロックバンドです。
これは最後の来日公演での予告動画↓
ゴリゴリのハードロックですよね!しかも口から火吹いとるし!(笑)
それにしても、脳梗塞で身体が思うように動かなくなって、あらゆることを諦めていたにも関わらず、「ライブに行きたい!」と素直な想いを伝えてくれたことはとても嬉しかったです。
まさにその方の心が動いた瞬間でした。
ライブに行くための事前準備
本人の気持ちが冷めないうちに、すぐに主治医やケアマネジャーに相談。
仮に体調を崩したとしても、対応してくれる先生がいるのは本当に心強い!
あとはチケットの有無、車椅子でも参加できるかの確認ですね。
運営側や会場に問い合わせてみると…
「チケットあります!」「車椅子でも参加できます!」
とのことでした。
ここまでくれば、あとは行動するのみ。
まずはライブ参加に向けての事前準備として、会場の下見を行いました。
事前の下見を踏まえて、リハビリでも実際に外出練習を行いました。
- 車椅子での移動は体力を消耗するため、介護タクシーを利用。
- 事前連絡を行い、会場内の移動はスタッフに依頼。
- 麻痺側である右側に手すりがあったが、トイレは自力で可能。
いざ、ライブに出陣!
ライブ当日。
久しぶりのライブで胸が高まっていたと同時に「本当に行けるのか?」と不安もあったご様子。
そりゃーそうですよね。脳梗塞を発症してから一人で外出することがなかったので、相当緊張していたんだと思います。
それでも、タクシーに乗って会場に着くと、不安よりワクワクが勝っていたとのことでした。
事前に連絡していた会場スタッフが席まで案内してくれて、スタンバイOK!
いざライブが始まると…
かなり叫んだみたいです(笑)
ライブ中も体調不良になることなく、無事最後まで楽しめたようです。
ちなみに隣の席はアメリカ人だったそうで、ギターで使用するピックを貰ったそうですよ。
音楽ってほんと国境を越えて仲良くなれますよね(^ ^)
ライブ参加後の変化について
脳梗塞を発症してずっと部屋に閉じこもっていた方が、ライブに行けたことで日常生活にも大きな変化が生じました。
例えば…
- 趣味で絵手紙を描くようになった。
- 車いすで近隣を散歩するようになった。
- 友人とドライブに出かけるようになった。
- 映画館に行くようになった。
- カープ観戦に行くようになった。
すごいですよね。車椅子でも大好きなカープ観戦に行くぐらいアクティブになるなんて!
最初お会いした時とはまるで別人ですね。
ちなみに、訪問リハビリ開始時とライブ参加後で活動範囲の変化について表したものです。
Life Space Assessment(LSA)とは
個人の生活の空間的な広がりにおける移動を評価する指標。
生活空間とは、ある期間において活動を実施するために日常的に外出した距離によって規定される。
これはライブに行けたという成功体験が大きな自信となり、活動範囲の拡大にも繋がったのではないでしょうか。
そして、これを機に訪問リハビリは目標達成のため卒業となりました。
リハビリ最後の日…
利き手である右手は麻痺が残っているため、なんと左手で私の似顔絵を描いたとのこと。しかも鉛筆1本で!!!
えっ、なに?この悪魔的なサプライズ!嬉しすぎますよー(泣)
(ウッチャンナンチャンのナンチャンに似てますね…)←よく言われる
『心が動けば身体も動く』
という言葉があるように、「諦めていたことが実現した時、人は大きく変わるんだな」と改めて感じたひと時でした。
まとめ
今回は、脳梗塞を発症して閉じこもりの生活になっていた方が、ライブ参加をきっかけに生活が大きく変わった!という内容について紹介しました。
病気や怪我などが原因で日常生活に支障が生じていても、その人らしい生活を取り戻すことは【リハビリテーション】の本質でもあります。
まずは、できる・できないの前に「○○したい」という気持ちを常に大切にしていきたいですね。
今後もその人らしい生活が送れるように、専門職の視点から関わっていきたいと思います。
それでは、今日も良い1日になりますように!